新原公司)
皆川榮治 |
今朝、内田大使とお会いになったと聞いていますが、先ほどの北岡教授のパネルは台湾の交流協会までに、どの程度伝わっているのでしょうか? |
| 楊慶安博士 |
それは、内田大使に聞いたほうがいいですね。今日はいろいろと意見交換があって、好感を得ました。いろいろと長い間お話をしました。ただ外務省は知っていてもなかなか進まないと思います。早くないけど、こうした提案があることはいいことです。総理官邸に外務省から出た岡本補佐官がいますが、彼も去年の秋に報告書を出しました。大使も言っていましたが、やはり日本の世論が大事です。外務省あたりが、もうすこし世論を見つめるべきだと思います。内田大使を含め外務省はエリートで立派な方です。
しかし、特にチャイナスクール、あの阿南大使ですが、お父さんは勇気のあった軍人で戦後切腹された方です。その息子が大使になって瀋陽総領事館へ駆け込んだ被害者を追い返すということをして、信念のない発言をしていました。日本の外交には原則がないのです。
戦前は勇気過剰、戦後は勇気不足。どうして日本人はこれだけ変ったのですか!戦前どれだけ勇気があったか申し上げると、ビスマルクの後で歴史の偉い軍略官は二面戦争をできるだけ回避しました、スターリンもそうです、ところが日本だけが陸軍はロシアを仮想敵国にして、海軍はアメリカを仮想敵国にして、そして陸軍と海軍はさらに喧嘩をして、最終的には二面戦争どころか中国、アメリカ、英国、フランス、オランダ、ロシア、インドを相手にして5〜6面戦争ですよ。しかもオーストラリアまでも攻めていこうとした。これは勇気過剰でなくて蛮勇ですよ。ところが戦後は縮んじゃってね、本当に惜しいと思いますよ。僕が望んでいるのは日本人の元気回復です。 |
協機工業)
北村友雄 |
日本の外務省の情けなさとかイライラされる気持は私たちも同じです。ところが、来年の3月の台湾の選挙を我々が台湾のことを心配する立場から言うと、マスコミはどちらかと言えば国民党、親民党よりですが、五分五分かあちらの方が強いとのアンケート結果が出ています。それに対してかなり最近巻き返しているとは言っていますが、まだまだ超えるまでにはいっていません。私は12年台湾に居ますが、アンケート及びマスコミの報告は当らないようで結構当っていて、総論として大きく見誤ってはいません。そうなると、楊先生が日本のことを憂いて「しっかりせい!」と言うことを、私たちは今の台湾の選挙民に思うんです。私だけでなく殆どの日本人が思っているように、この台湾は陳さんにもう一度やらせて、この民主化の芽を摘んではいけないし、228事件などのようにフィルムを巻き戻す動きをさせてはいけない。陳さんの経済政策に関していろいろ意見がありますが、経済は世界の動きの中です。もう一度民進党を中心とする現政権を支えて再選しなければいけないんです。そうじゃないと、でんぐりかえります。
楊先生が外務省をはじめとする日本に対して「情けない」と思っている同じ気持を我々が持っていることを伝えて、感想を伺いたいと思います。 |
| 楊慶安博士 |
まったく同感です。情けないです。
台湾ほど気の毒な国はありません。台湾人でありながら、台湾人である誇りを持っている人が少ないです。ご存知のとおり、50数年国民党に統治され、4〜5年前までは今日のような発言をしたら殺されてますよ。それまでは口を結んでいました。僕が日米関係、貿易関係を専攻した最大の理由は、台湾のことはタッチしないためです。嘘もつきたくもありませんし。台湾人は大中華民国思想を植え付けられて、台湾語を禁止されました。
来年の選挙は台湾にとっては関が原、勝てば元気が出ます。弱みは中共の圧力です。アメリカも「あまり中国を刺激してくれるな」と言います。前の李総統も陳さんも大変なんです。勝てば陳さんはもっと呂秀蓮みたいになります。実はさっき会ってきたんです。来年勝ったら台湾は良くなる。負けたら僕はもう帰ってこない。連戦、宋にしろ「台湾の主権独立を守る」と言っていますが、信じられません。
今日は、日本人のことを悪くいいましたが、むしろ誉めるところはあります。日本は台湾に法治国家を作りました。
来年、陳さんが勝ったら、彼はもっと強くなります。2008年まで何かやります。ただ、中共は国民党、親民党と組んで最大の邪魔をします。勝ったら、立法院の選挙も良くなると思いますので、是非支持して下さい。絶対勝たせなければいけない。
陳さんにしろ民進党にしろ欠点だらけです。派閥、総統府、行政などの連携が弱い。いろいろと批判して下さい。しかし、勝てば望みがあります。だから、李登輝さんは80になっても一生懸命やっています。 |
摂陽企業)
岸田宗三 |
中国には2008年のオリンピックと言う歯止めがあるから、国際社会上冷静になる態度を取る必要がありますが、逆に陳水扁さんは中国に遠慮することなくやればいいのではないでしょうか?そうすれば若い人も「元気があるなあ」と感じるはずです。どうでしょうか? |
| 楊慶安博士 |
まったく同感です。そのためには勝たなければならない。負けたらもうダメだ。勝ったら徐々に強く出てくると思うし、僕は期待しています。 |
摂陽企業)
岸田宗三 |
選挙に対する発言はどうですか?もっと強気でもいいのでは? |
| 楊慶安博士 |
頭初、陳総統は中間路線をとり、中共に最善の敬意を払いましたが、海外に住む僕等は寂しい思いをしました。ところが、最近それを言わなくなり、一辺一国(one
shore one country)を言い出して、来年はこれが選挙のテーマになると思います。彼は演説で、修正ではなく台湾に適応した新しい憲法を作り、国民投票にかけると強調しました。要するに、一辺一国、新憲法、国民投票を言った時に、僕は拍手をしました。だんだん強くなって来ました。
来年勝つことが第一です。後は2次的、3次のことです。どうしても勝たなければいけない。負けたら、望みはないとは言わないけど、台湾は近いうちに大陸に取られます。統一戦線を引いて、日本内部の労働団体、左翼団体と組んで日本政府を叩きます。中国の欲しい政策を押し付けるでしょう。
中国人とアメリカ人はよく似ていて、現実的で、自己主張が強いです。日本人は遠慮すぎて、アメリカに住んでいる日本人も同じです。日本文化は謙遜が美徳で、出る杭は打たれる。アメリカは逆です。「自分でラッパを吹かんといかん!(Brow
your horn!)」これがアメリカ文化です。中国文化とアメリカ文化はよく似て、非常に現実的です。だから中国の女はアメリカでよく成功するんです。僕は時々日本の外交官に「アメリカ人に対しては頭を金槌で2回だけでなく、5回ぐらい叩かないと分ってくれない」と言います。遠慮してだまっていたら誉められるどころが「あいつはバカだ」と言われます。これは文化の違いです。昔よく講演した時に、質疑応答の時に日本人はだまっています。質問するのはアメリカ人です。中国人はその点、くちゃくちゃ喋っています。特に女性はしっかりしています。結婚したらね、旦那は一日中働いた上に、家に帰ったら皿洗いとおもり、12時回れば奥さんにサービスしなければなりません。 |
新原公司)
皆川榮治 |
先生の奥様は日本人ですが、どこでお知り会いになられたのですか? |
| 楊慶安博士 |
名古屋で知り合いました。私の本を見て下さい。こういう論文集を出すのはうるさいのですが、若い頃の写真を載せました。佐藤栄作、福田武夫、中曽根さんと写っています。若い頃は悪くなかったですよ(笑)。彼女に惚れられたんです…(笑)。
僕等はアメリカに長く住んで、社会に溶け込んで、戦わざるを得ませんでした。それで日本人とたくさんお付き合いしました。帰ったら常務、副社長になる人が多いのです。
日本人はラッキーです。戦争に負けても自分の国、政府、会社があって。僕等の場合は一番気の毒で流浪の民です。国際的孤児です。そのためにも来年陳さんに勝ってもらおうと思っています。そうなれば日本にとっても非常にいいんですよ。 |
東芝精密)
入野保己 |
台湾に来てから5年経ちます。その間に台湾の会社は、みなさんこぞって大陸に投資をしました。その結果、失業率が上がり今は約5%と高率になっています。大陸との経済ではかなり密接なつながりが確立され、そういう状況の中で三通問題は現実的な問題になっています。私どもとしては現実的な問題のため、三通問題は早く解決したほうが台湾にとっても良いと考えますが、いかがでしょうか? |
| 楊慶安博士 |
グローバル経済にとって三通がないのは不自然です。しかし、中国だけでなく台湾、日本も政治が優先です。共産党が政府、軍隊、経済すべてをコントロールしています。だから、台湾の安全を保証した政治的なフレームワークが出来れば、三通はもっとやれます。
ところが中共の場合は、台湾を武力行使でやるか、最近はかしこくなって統一戦線、貿易と投資の相互依存による台湾経済の丸呑みをやろうとしている。実際三通であったほうがコスト効果がありますが、政治と軍隊がかかわっていますから複雑ですね。 |
東和楽器木業)
陳文智 |
結局のところ、一般の台湾人は三通を直接やりたい。いい方法はありませんか? |
| 楊慶安博士 |
先ほども同じような質問がありましたが、グローバル経済において今の状況は不自然です。財界は陳さんに圧力を相当かけています。2年前の夏に慎重な政策を捨てて、積極開放と言う政策を出しましたが、いずれもシステムが出来ていません。要するに、台湾に対する安全と政治上の保証の枠をつくれません。三通はしばらく間無理です。例えアメリカの監督の元でも出来ませんし、アメリカはしません。
中共は日本の直接投資大歓迎です。ところが合弁、中国側が51%です。日本のテクノロジーの移転を要求しています。中国人はやはり頭いいです。自分達で作り出せるようになったら日本、アメリカは糞くらえです。
だから、台湾の企業が大陸でどれだけ儲かったかは大きな疑問です。大抵損しています。台湾に帰ってきて「いやあ〜儲かりました」と言っていますが、そう言わないと恥ずかしいですから。 |
摂陽企業)
岸田宗三 |
アメリカ企業は中国への企業進出をどう思っているのでしょうか? |
| 楊慶安博士 |
モトローラー、ボーイングなどいろいろ入っていますが、そのうち目覚めますよ。数年前までは中国の人工衛星の打ち上げは失敗ばかりしていた。ところがロラールと言う会社が、その技術を提供し、後で問題になりました。それから中国の人工衛星産業が成功しました。金儲けもいいけど、自分の国の国益を考えるべきです。アメリカ、日本、台湾、EUこれまで沢山中国に投資、技術移転して…後で絶たれますよ。そのうちに中国は世界の大工場になるだけでなく、軍事大国になって日本を脅かしますよ。もうすでに、日本の排他的経済水域に入っていますよね。これはアメリカにとっても大変な脅威です。 |
新原公司)
皆川榮治 |
時間も参りましたので、楊博士のご講演を終了させていただきます。この後、早めの食事を囲んで、楊博士のご退席になる迄の時間、更に交流を深めたいと存じます。楊博士、本日は有難うございました。(拍手) |